薬剤部

当院の薬剤業務について

職員構成

 薬剤師5名(うちパート1名)、助手4名の計9名のスタッフで構成されています。

調剤業務について

 外来処方はほぼ院外処方となっていますので、調剤業務は入院患者の処方と注射払出に注力できます。また、最新の調剤機器を導入することによって業務の機械化がすすめられたことより、得られた時間を病棟業務などの対人業務に充ててることが可能となりました。機械化と助手の活用で全入院患者の内服薬定期処方のユニットドーズでの払い出しが可能となり、看護業務省力化への貢献と安心安全な薬物治療の提供が得られています。
 無理のない働き方ができており残業はほとんどありません。

服薬指導・病棟業務について

 病棟業務では算定可能な急性期病棟と障害者病棟で薬剤管理指導業務を行っています。急性期病棟では病棟薬剤業務実施加算も算定しており、チーム医療の一翼を担っています。

 抗てんかん薬や抗悪性腫瘍薬、抗血小板薬、糖尿病薬などのハイリスク薬が処方された患者さんに対しては、「ハイリスク薬チェックシート」を用いて薬学的管理業務の標準化と質の向上を図っています。新人の薬剤師も安心して薬剤管理指導を実施できる環境を整えています。

 急性期病棟と障害者病棟ではそれぞれ疾患の特徴に応じた服薬指導を行っています。

 急性期病棟に入院してくる患者さんの多くは脳梗塞です。他に脳出血、てんかん、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍、めまい等があります。既往歴がない場合もありますが、ほとんどの方が何かしらの既往歴を持っています。病気の再発予防につながる様に、患者さん自身が自分の病気を受け入れて、医師の指示に従って積極的に薬を用いた治療を受けることを支えるための服薬指導をしています。

 障害者病棟には脳卒中の後遺症で重度の意識障害のある方や、パーキンソン病、ALS(筋委縮性側索硬化症)、脊髄小脳変性症などの神経難病のある方が入院しています。長期間にわたり集中的なトータルケアが必要な方が多く嚥下困難な患者さんのために、薬剤の粉砕可否、簡易懸濁時の注意、配合変化などの情報の確認は薬剤師の専門性が発揮されており、医師や他のスタッフへ情報提供を行っています。

 病棟薬剤業務においては、病棟の薬剤の定数管理、処方の確認・変更、持参薬の鑑別、配薬カートの管理など行っています。病棟薬剤師として、病棟の看護師とのさまざまな情報共有を行ったり薬に関する相談を受けたり、医師や看護師の負担を減らし、患者さんにより良い医療を提供できるよう努めています。

施設基準

  • 薬剤管理指導料
  • 病棟薬剤業務実施加算1
  • 後発医薬品使用体制加算1
  • 無菌製剤処理料1

薬剤部で使用している主な機器・システム紹介

  • 鑑査支援機能付き全自動錠剤分包機 PROUD-i

    1台で錠剤分包機と一包化錠剤鑑査支援装置のパフォーマンスを発揮。払い出された薬品を専用シャーレ機構が受けとり、上下2台のカメラで薬品を直接撮影することで、薬品を鮮明に表示することができます。撮影した薬品の持つ色調、形状、直径といった要素を分析して一覧で表示。処方明細と撮影した画像を照らし合わせながら、確認・承認などの判断を行うことができます。

    鑑査画面イメージ

  • 散薬調剤ロボットMini DimeRo

    薬品の選択から分包までの作業を自動化、処方オーダーは電子カルテとの連動で自動的に送信されるので、薬剤師がかかわることが一切なく散薬のフルオート調剤が完結します。
    また、散薬カセットのRFIDチップの読み取りにより薬品の選択を行い、プログラミングに従って秤量作業を行います。よって、薬品の取り間違いや秤量間違いなどの人為的なミスを防ぐことが可能です。

  • 次世代薬剤業務支援システム YUNiCOM-GX

    処方照会画面にて、薬品の添付文書情報や各種マスタ、前回処方や処方歴など、処方に関わる様々な情報を確認することが可能です

  • GXハンディPremium

    調剤室内や注射払出室内におけるピッキングや在庫管理だけでなく、病棟や他の場所でも医薬品情報の閲覧などができます。当院では薬剤師全員分と調剤助手用に計8台が設置されています。

  • 病棟業務支援システム Pharma Road-GX

    薬剤管理指導業務、病棟薬剤業務から持参薬鑑別業務まで病棟に係る業務をサポート。

  • 注射薬自動払出システム

    安全かつスピーディーに注射薬の払い出しが可能。GXハンディPremiumとの併用で手作業の取り揃えは非薬剤師が行い、最終監査のみ薬剤師が行っています。4分割トレイが格納されたローテーションカートで各病棟へ配送しています。

  • 一包化錠剤仕分け装置 TABSORT

    返品された一包化錠剤をほどいて、TABSORTの専用トレイに投入すると、1錠ずつ撮影し、薬品の持つ識別コードや形状、外寸、色調を判別して自動で仕分け。錠剤の仕分け作業時間と仕分けミス、廃棄ロスを削減します。仕分けカップのRFIDチップに記録された薬品情報を錠剤分包機PROUD-iで照合することで、錠剤カセットへ確実に充填でき、錠剤の戻し間違いがありません。

  • 院内トータル物品管理システム MELS

    医薬品等の物品管理業務の効率化、過剰在庫や請求漏れの防止、適正在庫の実現をサポートし、病院経営の合理化を図ることができます。

薬剤部スタッフについて

薬剤師の一日のスケジュール

各病棟における薬剤指導について

―SCU(脳卒中ケアユニット)での服薬指導―

 脳卒中発症してからすぐの患者さんが多い病室となります。
 内服だけでなく、注射を使っているケースがほとんどの為、各種検査データの確認や注射薬の投与量の念入りな確認を行い、安全かつ適正な使用に取り組んでいます。服薬指導においては上記のように内服、注射とある為、より詳しく細かく説明するよう心掛けています。

―急性期病棟での服薬指導―

 急性期病棟とは、発症してすぐの方に対して手術などの治療を提供する病棟です。 脳梗塞の再発予防につながる様に、患者さん自身が自分の病気を受け入れて、医師の指示に従って積極的に薬を用いた治療を受けられるように指導しています。後遺症により様々な障害を持つ場合があるため、その方に合わせて指導する事に難しさとやりがいを感じます。薬の専門的知識や経験、また患者さんの服用履歴から患者さんの健康上のリスクが未然に防げるように安全な薬剤管理をしています。

―障害者病棟での服薬指導―

 患者さんと長期的に関わっていきますので、介入開始時には服用可能な薬も、腎機能の悪化等により禁忌となる場合もあり、必ず検査値や有害反応の確認を行っています。また、パーキンソン病の薬は服用時間を守ることが大切なので、理由を説明し退院後も適切に服用継続できるよう努めています。意志の疎通が取れずもどかしさを感じる患者さんもいますので、筆談や視線入力装置を使用し、さらに視線を合わせてゆっくりとしたトーンで話しかけることで、安心して指導を受けてもらえるよう心がけています。患者さんより「お薬の疑問や不安に耳を傾けてくれる薬剤師さんがいてくれて心強いです」とお便りをいただいたときには嬉しくやりがいを感じました。

業務実績

調剤業務実績

処方せん枚数
年度 合計 入院 外来 院外処方せん発行率(%)
院内 院外 合計
2023 44,435 26,605 425 17,405 17,830 97.6
2022 44,230 26,314 441 17,457 17,898 97.5
2021 45,221 26,978 277 17,966 18,243 98.5
2020 46,651 26,210 338 17,556 17,894 98.1
2019 44,559 25,457 422 17,927 18,349 97.7

注射業務実績

注射処方件数 無菌製剤処理料1算定件数※
2024 18,549 47
2023 27,348 55
2022 37,736 25
2021 38,420
2020 35,435
※2022年6月から算定

薬剤管理指導業務実績

年度 指導患者数 指導件数 退院指導件数
2023 1,575 3,419 135
2022 1,574 3,854 146
2021 1,538 3,799 137
2020 1,220 2,757 257
2019 634 1,226 91

病棟薬剤業務

業務内容 合計
件数 557 792 1505 398 2 19 477 3750
  • ①医薬品の投薬・注射状況の把握
  • ②医薬品の医薬品安全性情報等の把握及び周知並びに医療従事者からの相談応需
  • ③入院時の持参薬の確認及び服薬計画の提案
  • ④2種以上の薬剤を同時に投与する場合における投与前の相互作用の確認
  • ⑤患者等に対するハイリスク薬等に係る投与前の詳細な説明
  • ⑥薬剤の投与にあたり、流量又は投与量の計算等の実施
  • ⑦その他

その他の業務

  • 麻薬管理業務
  • 持参薬鑑別
  • TDM
  • DI業務
    • 院内医療スタッフ等からの問い合わせ
    • 外部医療機関からの問い合わせ
    • 患者からの問い合わせ
    • DIニュース発行
    • 採用医薬品集発行
    • 採用医薬品集発行
    • 製品説明会
  • A型ボツリヌス毒素の失活作業
  • 生食注シリンジ5mLの作成(出荷停止の市販品代替)
  • 職員(外部業者含む)向け集団接種用インフルエンザワクチンの充填
  • 院内保育所園児用インフルエンザワクチンの充填
  • 職員向け新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス同時検査キットの払い出し
  • 職員向け職業感染症ワクチンの接種に係る業務

入院時の持参薬について

  • 事故防止と円滑な治療推進のために、入院中においては持参薬(外来通院中に処方されたお薬)を使用しない ことと致します。
  • 例外的に当院で取り扱っていない薬、医師が必要と判断した薬、また患者さんの状況に応じて必要最低限使用するためにお持ちいただく場合があります。
  • 入院日が決まっている場合、他の医療機関のお薬を事前にご用意いただき、入院中に使用する場合があります。

持参薬Q&A

Q1: 持参薬とは何ですか?

A1: 持参薬とは入院前に飲まれているお薬のことをいいます。内服薬、注射薬、吸入薬、ぬり薬など、他の医療機関で処方してもらっているお薬や市販薬も含みます。

Q2: お薬は持ってこなくてよいのでしょうか?

A2: はい。入院時には「お薬手帳」や「お薬の説明書」など、現在飲んでいるお薬がわかるものをお持ちくださるようお願いします。それらがない場合にのみお薬をお持ちください。例外的に、当院で取り扱っていない薬、医師が必要と判断した薬、また患者さんの状況に応じて必要最低限必要となった場合、お持ちいただくこともあります

Q3: 入院前に処方されたお薬は、退院後も継続して服用できますか?

A3: 処方内容に変更がないお薬に関しては継続して服用できます。退院後にこれらのお薬を調剤薬局へお持ちいただくと、調剤薬局の薬剤師が使用期限や処方内容を調べた上で残薬の整理を行ってくれます。その後、調整後に処方されたお薬を指示通りお飲みいただくことができます。 一方、入院中に処方されたお薬と重複したり、不要となったりしたお薬がある場合は服用できません。退院時に医師や看護師、薬剤師にご確認ください。

Q4: どうして入院期間中の持参薬の使用を禁止するのですか?

A4: 一つは入院患者さんの健康に関して病院が責任を持つという観点から、服薬している薬に関してもトータルに管理して治療を進める必要があるからです。 もう一つは厚生労働省から、DPC(診断群分類別包括評価)においては「入院中の患者に対して使用する薬剤は、入院する病院において入院中に処方することが原則であり(中略)あらかじめ当該または他の病院などで処方された薬剤を患者に持参させ、当該病院が使用することは特別な理由がない限り認められない。」(厚生労働省通知 保医発0319第4号)とあり、当院は現在DPC準備病院ですが、今後DPC病院に移行する段階において持参薬の鑑別や整理のシステムを確立する必要があるからです。
ご理解、ご協力をお願いいたします。

ピオクタニンブルー液(メチルロザニリン塩化物含有製品)の使用について

 メチルロザニリン塩化物(別名:ゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット)は手術、内視鏡等の組織染色や殺菌・防腐目的で各種処置に多くの病院で使用されていますが、平成30年11月に食品安全委員会はメチルロザニリン塩化物について「遺伝毒性を示す可能性を否定できず、発がん性が示された」と評価しています。
 薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策調査会の審議結果として、令和3年12月厚生労働省により、「代替品がなく、当該医薬品によるベネフィットがリスクを上回る場合に限り、そのリスク(遺伝毒性の可能性及び発がん性)を患者に説明し、同意を得た上で投与することを前提として認めることを許容する。」と定められています。
 当院でもメチルロザニリン塩化物を含有する製剤を調製し手術の際にマーキングとして使用しています。

当院で使用する理由

  • 多くの病院で使用実績があり安全な使用が見込まれています。
  • 使用するメチルロザニリン塩化物は希釈されており、使用量は少量です。
  • 手術時のマーキングの目的で一時的に使用するため、体内に長く残存することは考えられません。
  • 多くの場合代替品が存在しません。

 当院では使用の対象となる患者さんのお一人ずつに説明し同意をいただく代わりに、ホームページ及び病院掲示板に情報を公開することによりピオクタニンブルー液(メチルロザニリン塩化物含有製剤)の使用の同意といたします。
 なお、本件について同意をいただけない場合やお問い合わせなどがありましたら、主治医または薬剤部へお申し出ください。